日本の科学者  Vol.45 No. 2010 4月 1日発行 付録


北海道支部ニュース

No.318

   



務局 001-0022

   札幌市北区北22条西2丁目1-2

静麗荘32号室

  振 替 02740-1-6811

TEL. FAX (011)707-2299

Eメール  jsa-hokkaido@mc6.sings.jp



北海道支部 ホームページ  http://www.jsa.gr.jp/hokkaido/

JSA本部 ホームページ    :http://www.jsa.gr.jp


 2010年度JSA支部大会   ---------------------------------------------------------------

 新入院生学生歓迎講演会  -------------------------------------------------------------

 会員拡大の取り組み   -----------------------------------------------------------------

科学談話室  --------------------------------------------------------------------------



     2010年度JSA支部大会の予告

 2010年度北海道支部大会を下記の通り開催します。代議員の方はご出席下さい。

 代議員が出席できない場合は委任状を必ず提出してください。

代議員以外の会員の方々にも積極的にご参加いただき、ご意見等をお聞かせ下 さい。

  


時:2010年5月16日(日)9:30 14:00

所:北大工学部社会工学系第2会議室 A151工学部正面玄関入り1階左手奥)

報告及び議題:

1.'09支部・班・委員会等活動報告   2.'09会計報告、監査報告

3.'10支部活動方針案及び予算案    4.支部役員及び全国大会代議員選出

   5.全国大会議案意見交換      6.その他



2010年度支部大会の個人会員代議員を募集します!


下記の通り個人会員代議員(班・分会に所属していない会員から選ばれる代議員)を、

募集します。自薦他薦を問いません。多数ご応募下さい。

なお、支部大会日程等は、上記予告をご覧下さい。

代議員数  最大で12名

推  薦  自薦、他薦どちらも可

推薦期限  支部事務所宛、4月7日 ()までにご連絡ください。

決定方法  4月8日開催予定の常任幹事会で審議決定し、結果を応募された方に

連絡します。  















      2010年度 新入院生学生歓迎講演会 のお知らせ


科学者会議北海道大学分会主催で2010年度 新入院生学生歓迎講演会を以下の要領で行います。



岐路に立つ大学と日本の科学・技術政策


時:2010423日 18時から

師:池内 了氏(総合研究大学院大学教授)

場:北海道大学遠友学舎


   (北大構内北区北18条西7丁目、地下鉄北18条下車徒歩10分)

  参加費は無料です(学生大学院生以外の方はカンパをお願いします)

  事業仕分けの対象に国立大学がなるなど,学問研究を取り巻く状況は

  良くありません。こんな時期に大学・大学院に入学した新入生に向けて

  科学と学問のあり方,社会との関係などのお話をしていただく予定です。

  お気軽にご参加ください



講演者紹介

池内さんは,日本科学者会議の会員であり,世界平和アピール七人委員会の委員でもあります。九条科学者の会でもご活躍されています。専門は,宇宙物理学で宇宙論です。また,著書も多数で,最近では『科学者心得帖―科学者の三つの責任とは―』(みすず書房 2007年),『宇宙論のすべて 増補新版』(新書館 2007年),『疑似科学入門』(岩波書店 岩波新書 2008年)など専門の解説から,科学者のあり方まで非常に幅広く執筆されています。


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   大規模風力発電問題研究会へのおさそい


 最近、銭函海岸に大規模風力発電施設を建設する計画が明らかにになりました。地球温暖化防止問題に関連して、太陽光・風力・バイオマス発電などによるクリーン・エネルギーが重要になっていますが、一方では、大規模風力発電施設が地域の生態系の破壊やバード・ストライクを引き起こし、更に風車による騒音・低周波音・超低周波空気振動が住民への健康被害を引き起こすのではないかという問題がでています。

 これらの問題を科学的に検証するためには、生物学・物理学・工学・医学・環境科学・社会科学など多方面の分野の研究者による協力が欠かせません。そのために、JSA北海道支部内に「大規模風力発電問題研究会」を発足させたいと思います。

研究会は当面、準備会として進め、5月支部大会で承認を受ける予定です。関心のある会員の皆さんの参加を期待しています。参加を希望される方は、支部事務局(011-707-2299)へご連絡ください。       

                       (準備会代表・第3水曜の会 前田 満)









 支部会員の皆さま


  「会員拡大月間」にあたって、会員拡大の取り組みのお願い


日頃、日本科学者会議の活動にご協力いただき、どうもありがとうございます。日本科学者会議は、科学の自主的・民主的発展をめざし、普及をはかる学会として活動しておりますが、

全国の常任幹事会は、活動の強化を図り、そして財政基盤を安定化するため、12月から5月

を「会員拡大・組織強化」のための月間に設定しました。

 北海道支部でもこの提案を積極的に受け止めて、会員拡大及び組織強化の取り組みを行うこととしました。5月までに20名の加入を目指しています(現在10名加入)。

 つきましては、皆さまの周りの方に本会への入会を呼びかけてください。呼びかける際の資

料として以下のものを用意しておりますので、支部事務所までご連絡くださればお送りします

(事務所連絡先は1ページをご参照下さい)。 

 是非、ご活用下さい。


(1)本部作成JSA紹介リーフレット・入会申込書(日本科学者会議のホームページ・表紙  右上「入会案内」よりダウンロードすることが可能です)

(2)北海道支部作成の入会案内「日本科学者会議に入りませんか?」(支部ホームページよ  りダウンロードすることが可能です)

(3)機関誌「日本の科学者」のバックナンバー

(4)支部創立40周年を記念して発行した『北海道における科学者運動の歩み』


      北海道支部事務局長 江見清次郎


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【科学談話室】  日高衝突帯とダム

              在田一則(北海道大学総合博物館資料部研究員)


 卒論では日高山脈をフィールドとし、大学院ではヒマラヤ(ネパール)にも関わり、プレートテクトニクスの区分では衝突型といわれる造山帯(山脈)の地質構造や形成史を研究してきた。我々地質屋は地表を歩き回り、その野外データをもとにまず地質図や地質断面図を作る。地質断面図は地表でのデータから地質学の論理にしたがって作成するのだが、その深さは地下23km、ときには10km以上に達することもある。「地質屋は見てきたようなホラを吹き」という言葉がある。我々は地質学の論理を信じているが、もちろんすべての地表データを得ることはできないし、とにかく地下深部を見ることはできないので、自分でも半信半疑のところがある。

 一方、同じ地球科学でも地球物理学とくに地震探査は深部構造を探るのに有効である。1990年代に科研費を得て日高山脈の深部構造を反射法地震探査により探る機会があった。その後も他大学の共同研究者が科研費を得て何度か探査を行い、面白い結果を得ることができた。それは、北海道南部では、日高山脈を境に東側(十勝側)が西側(日高側)に押し付ける運動によってできると推定される深部構造が浮かび上がってきたことである。そのような地殻運動(「千島前弧の西進」)は地質学的手法(地表調査)から推定されていたのだが、その運動から帰結する深部構造が明らかになったわけで、「千島前弧の西進」という考え方が支持された。



そのようなことから「日高衝突帯」という言葉も生まれた。このスキームによると、多少乱暴な譬えだが、日高山脈は丁度ブルドーザーの役割をしていて、日高ブルドーザーが西方への押しつけによって、山脈の西側の岩石や地層は強く褶曲したり、多数の断層により切られたりしたのである。石狩炭田では先輩の炭田地質家の努力により、ナップ構造という傾斜の緩い大規模な断層によって東側の地層が西側の地層にのし上がる構造が古くから知られ、東側から大きな構造力が働いたと推定されていた。これも山脈西側の多数の断層の一つで、それらの断層の活動は時代とともに東から西に移動したことも深部構造から推定された。その西方運動の最前線が馬追丘陵西縁の馬追断層で、これは活断層である。このような多数の断層によって、山脈の西麓や日高側の河川中流部の地層や岩石は強く破砕しているのである。

 話は変わるが、27日(日)夜NHK教育テレビでETV特集「あるダムの履歴書〜北海道・沙流川」が放映された。日高山脈の西側を流れる沙流川では、1970年頃、当時の苫東計画(苫小牧東部開発計画)の工業用水としてダムが計画され、苫東計画の破綻後も、「動き出した公共事業は止まらない」の経験則を証明するように、目的を変更して建設は実施され、アイヌ民族の聖地(チノミシリ)を破壊して、1997年に二風谷ダムが完成した。今その上流に平取ダムが計画されている。

 番組によると、沙流川の水資源調査を町から依頼された大学教員やシンクタンク所員からなる沙流川水資源対策調査団は、北海道開発局が調査資料をほとんど出さないので独自の調査を行い、ダム堆砂は25年で計画堆砂量(100年間で堆砂すると予想される量)

達すると結論した(沙流川水資源問題に関する調査報告書、1976)。実情はそれ以上であり、新聞などでも報道されているように、現在の二風谷ダムの堆砂は計画堆砂量の2倍以上に達している。

 調査団の慧眼に驚くとともに、その予想は上記の地質状況からは当然ともいえ、改めて自然の正直さを知る思いがする。それにしても、北海道開発局はなぜ調査団の結果を無視したのだろうか。開発局の事前調査には「ダム前提」のバイアスがあったのだろうか。いろいろ考えさせられることである。




【編集後記】現在の世界的な規模での課題は「地球温暖化」ではあるが、「飢餓」や「平和」 もそれに劣らず重要な問題であろう。鳩山政権が誕生して半年。昨日(3月15日)のある全国紙の世論調査では、支持率は下落一方で43%、不支持が45%となった。この不支持率を象徴するのが米海兵隊普天間基地の「移設」をめぐる政府・与党の迷走であろう。

  今や「軍事同盟廃止」は世界の流れ。日米安保条約は、世界にも突出した悪名高い軍事条 約である。そもそも日本の安全、世界の平和、基地や軍事条約の基本的な検証や議論無しに

 ただ「県内たらい回し」では、「支持率続落」も当然の結果であろう。鳩山首相は、世界の 流れや国民の願いも見えない「裸の王様」にすら見えてくるのだが・・・。   (増子)