JSA 

北 海道支部ニュース

   

      No. 275   2004. 10.18



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第3回支部幹事会開かれる                                  1     

フォーラム「国立大学の法人化で大学をどうする」                   2

支部事務局長会議に出席して                               

科学談話室-美浜原発事故(0489日)と泊原発の老朽化    

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第 3回支部幹事会開かれる


 9月26日北大工学部で標記会 議が開催された。出席は、7班・分会(北大工、北海学園大、札幌学院大、道研究団地、北見工大、北大水産、稚内北星大)、個人会員幹事4名及び代表幹事2 名です。神山代表幹事の挨拶後、進行役に一條(北大工)・沼辺(道研究団地)を選び以下の議事に入った。

支部・ 班等活動報告:支部活動報告後、各班・研究委員会等から活動報告がされた。今期結成された地球温暖化問題研究会から活発な研究活動が報告された。 原発問題研究委員会の泊原発トラブル多発に関する報告について、保守点検人材の養成、検査精度などの問題について議論が行われた。

議題 1.北海道科学シンポジウム:PCB廃棄物処理問題について、室蘭で来春の開催を検討していくこととなった。地元と実行委員会をつくることなどが 話された。

議題 2.大学法人化フォーラム総括:法人化移行後の予算措置、基礎研究削減の恐れ、研究評価の問題、教育をどうするか、などについて意見交換がなされ た。

議題 3.支部財政問題及び組織強化・拡大:事務局長より会員減がつづく場合の方策(支出項目の削減と収入増)についての提案がされた。次のような意見 が出された。(1)若い人に魅力ある活動ができてない。(2)事務所経費維持のカンパを呼びかけては。(3)維持資金を集めるだけでは消極的なので、印刷物をつくるなど積極的な理由が必要。また、 若手養成のためのカンパも。(4)フォーラム等の内容をメールで配信することも検討。そのためには事務所のIT化が必要。 など

議題 4.「JSAあり方」答申具体化へむけた検討課題:事務局長より本部組織部の提案文書について説明後、若干意見交換した。

その他 の議題:憲法問題についての取り組みについて議論した。JSAだけで活動するのは難しいので「9条の会」の活動に連帯する取り組みを進めていく  などの意見が出された。(事務局長・江見)


 

フォーラム「国立大学の法人化で大学をどうす る」


 

 このフォーラムは国立大学は個々に、高専は全国1法人として、非公務員型の行政法人となっ 925日、標記フォーラムが20名余の参加により北大学術交流会館で開催された。

て半年が過ぎ、法人化により大学はどのように変わっ たか、その実態と問題点について意見交換することを目的とした。

 最初に北大職組の委員長でもある伊藤雄三氏(北大工)が、北大の法人組織と学長選考、予算と評価制度、労 働3法の適用などについて解説された。

 組織では学長を理事長とした理事8名、理事会に半 数以上を学外者とする経営協議会が新たに置かれた。

 学長選考は、助手を除く事務長や管理職を加えた学 内投票が実施されるものの、最終決定は経営協議会の学外委員を入れた学長選考会議が候補者全員を対象に投票し、過半数得票者を学長とする制度となった。

 予算は2003年度をベースに交付金が決められたが、基盤配分経費 が削減され重点配分に振り向けられたこと、病院施設整備等に関わる債務償還の問題が報告された。財務を圧迫する可能性が指摘された。また、労働法の関係で は時間外労働の問題が指摘された。

 小林道明氏(北見工大)は法人化にともない導入された任期付任用を中心に、 中期目標と中期計画の概要について報告した。任期付任用では、新規採用者は全員任期付で、教授・助教授は5年ごとに評価し再任用されるが、講師と助手は5年任期で3年間の延長が認められ昇任しなければ8年で終わること、ただし、ポスト枠はないので業績に よる昇任は可能であることが解説された。

 次に、今回大学と一緒に法人化された国立高専の状 況について、岡本幸雄氏(苫小牧高専)に報告していただいた。高専は全国1法人として発足 している。高専では高校の教諭としての仕事もあり、クラブ指導クラブ引率等の

 

時間外や休日労働があるが、時間外手当の財源が手当 てされていないため、辻褄合わせの変則勤務を採用せざるを得ず、様々な矛盾が生じていることが報告された。

 次いで、私立大学への影響について、市川治氏(酪農学園大)に発言をいただいた。氏は、今のところ国立大学の法 人化による私大への直接的影響は特に見られないが、私立学校法が改訂され理事会の権限が拡大し教授会の権限が低下しつつあること、今後、学生の獲得競争が いっそう激化し、私大の経営に影響し、その結果、経費不足による教育・研究条件の低下が懸念されることが報告された。大学の教育研究と労働条件の水準を守 り発展させるため、連携した取り組みの必要性が指摘された。

 次いで、2期目の中期目標に向け見直しが行われようとしてい る、産総研と農業研究センターの現状について発言があった。どちらも次の見直しで公務員型から非公務員型法人への移行が推し進められようとしていること、 強大な理事長権限によるトップダウン、不十分な評価基準・評価システムなどの現状が報告された。

 最後に総合討論に移り、大学の自治・学問の自由と は何か。自己保身ではなく、真の自治の確立が今後の教育・研究の発展に不可欠であるという指摘がなされた。また、労働3法が適用されるが、時間外手当等の予算が補てんされ ず、時間外の労災適用に不安が残ること、大学でも「金になる研究」が優遇され地道な基礎研究の後退が心配されることなどが論議された。

 法人化は導入されたばかりであり、今後の動向に注 意を払い、情報を交換と討論の場を設けていくことを確認し終了した。(沼辺


 

 

支 部事務局長会議に出席して

「JSAあり方」答申具体化、憲法問題で活発な議論

 


9月1920東京文京シビックセンターで支部事務局長会議が開かれました。組織部からの「JSAあり 方」答申具体化および支部活動アンケートについての報告後、特徴的な活動を行っている支部(宮城、 山梨、東京、京都、沖縄)からの報告があった。宮城:「世の中研究会」と「高齢社会問題研究会」が あり、会員外の参加や、市民講座の開催などを行っている。山梨:新山梨環状道路の建設に対して、住民団体とともに反対運動に取り組んでいる。大学会員の会 費は銀行自動振り込みを行っている。京都:院生会員の拡大を力点の一つにおいていて、「若手研究者夏の合宿」を琵琶湖畔で開催した。沖縄:支部役員体制を3人(事務局長、会計、会誌担 当)いればOKなような形にしていて、メールでの連絡および会員のデータベース化で行っている。

その後4つのグループに分かれた 分散会に移った。議論のテーマは「JSAあり方」答申具体化、支部活動と会員拡大および研究活動の活性化である。私は、中国、四国、九州および沖縄グルー プに入り、ひとり最北からの参加となった。特徴的な話題としては、会費の自動引き落とし、会員数の少ない支部での他支部との交流の必要性、科学者としての 大学に対する提言の必要性などが出された。

 二日目は、組織部による分散会 のまとめと全体討論から始まった。その後「JSAにおける今後の活動の中心点:憲法問題」の学習会と討論に移った。学習会講師は金子勝氏(立正大学)でした。これについての討論は、昼食休憩 をはさんで午後も活発に行われた。(江見)


 


 

15総学(第15回総合学術研究集会)に参加 を!

15総学が以下のように開催 されます。詳しくは科学者会議ホームページhttp://www.jsa.gr.jp/15sougaku/  または、支部事務所までお問い合わせください。支部会員の皆様方も参加をご検討ください。

・テーマ:持続可能な文明を めざして−阻害要因の解明と克服の展望−

・日程:2004年11月26日〜28日

・場所:京都

フォーラム「国立大学法人化で大学をどうする」 報告資料集を提供します。

本資料集が10数部残っています。ご希望の方に差し上げますので、事務所までご連絡下

 さい。


 

会費納入のお願い

 この数年に亘る会員数の減少と ともに道支部財政も縮小せざるを得ない状況になりました。 道支部も極力無駄な支出を避けるよう努力しておりますが、本部への上納が遅れ るなどの影響がでております。会費納入、特に全納または一括納入にご協力お願いいたします。

                                  (支部会計担当)




 


 科学談話室 

  美浜原発事故(0489日)と泊原発の老朽化

            石崎健 二(道支部原発委員会)

 美浜原発で起こったこと

  美浜原発3号機(加圧水型、826kw)のタービン建屋2階で二次冷却水復水管(直径56cm、肉厚10mm)に数10cm四方の穴があき冷却水(140℃、9.5気圧)が噴出したため、1522分、火災報知機が作動。同24分、13階の報知機も作動。同28分、蒸気発生器への給水流量 が蒸気流量よりも少なく蒸気発生器の水位も低下したとの警報が出て原子炉が自動停止した。続いてタービンも自動停止。次いで補助給水ポンプが自動起動して [おそらく残っている2つの健全な]蒸気発生器に給水を継続し、原子炉は温態停止状態を維持。ここまでが装置と しての原発事故である。

 漏えいした冷却水は約800t(通常は約1,100tが循環)といわれ、 蒸気発生器の水位は平常の1/4まで低下したとのこと。また、タービン建屋では104人の作業員が814日から始める予定の定期検査 の準備に当っており、火傷により4名がその場で死亡し7名が負傷した。重態とされていた2名のうち1名は825日に死亡した。

 泊原発では、このような事故は 「主給水管破断事故」としてあらかじめ想定されている。起こった場合は一連の所定の操作が行われ、原子炉については「健全側蒸気発生器への補助給水の供給 により」「炉心の損傷はなく、かつ十分な冷却が維持される」と安全審査書に書かれている。もしも所定の操作がうまくいかなければ、炉心が冷却不足で損傷し 放射能を放出することが有り得るということである。米国スリーマイル島原発事故(793月)がその例である。今回の事故では想定どおりに推移したようであり、この限りでは幸運 であった。

人知れず進む泊原発の老朽化

 今回の事故の翌日(10日)、北電から原発問題全道 連絡会(JSA道支部も参加)に「当該部位については、1号機第9回定検[00年]、2号機第10回定検[04年]で減肉の発生しにくいス テンレス製配管に取替え済みです」との連絡があった。新品同様に見えた泊原発の老朽化を初めて具体的に実感させられたのは2号機再生熱交換器漏水事故(03年)であったが、本当はそれ 以前から配管の交換が必要なほど老朽化は進んでいたのだ。「隠していたのではない、聞かれなかったから」というのが北電の言い分である(13日、連絡会との会見で)。

 03年の事故の後、安全協定で北 電に義務づけている通報連絡及び公表の基準が整備された。事故が起こらないと老朽化の実態が知らされないという状況をなくするよう一層の工夫が望まれる。

 

 

 

編集後記 

10月上旬発行予定の 支部ニュースが半月程遅れてしまいました。

「科学談話室」の記事 を募集しています。よろしくお願いいた します。