第3回支部幹事会開かれる

 2月29日(日)、北大工学部で支部幹事会が開催され、出席は8班・分会幹事(北大工、農、

北海学園、札幌学院、道研究団地、北見工大、旭川大、稚内北星)及び個人会員幹事5名です。

神山代表幹事の挨拶後、以下の議事に入った。

支部・班等活動報告:

支部活動について配布資料に基づき報告後、各班、個人会員等から活動報告がされた。「市民

講座を計画したい」(旭川大班)、「班体制を若い会員中心に立て直したい」(北海学園大班)

などの積極的な報告もされた。班からの報告に関して、少子化や家計収入の悪化により地方私立

大の存続・廃校の問題が話題となり、今後支部としても_沒「していく必要があるとの指摘がなさ

れた。

議題1.科学技術政策と法人化:

この問題を科学者会議としてどうとらえるのか議論が必要との意見があり、今後「JSAとし

ての政策提言」を取りまとめる必要があると考えられる。

議題2.科学シンポジウムの総括及び計画:

次のような意見が出された。(1)地方開催の定例化が必要。隔年、それが難しい場合3年に1度

の開催を。(2)開催時期については、なるべく忙しくない時期で、6月又は7月頃はどうか。(3)

室蘭のPCB処理問題をシンポのテーマとしては。(4)会員数が多い札幌で開くことも必要だ。

議題3.支部財政問題:

事務局長より資料に基づき説明があった。次のような質問・意見が出された。(1)「財政再建」

の数値目標は?(これについては、当日40万円位の赤字対策が必要との指摘があったが、実際

は23万円程度であると思われる)(2)全国への会費前納還元金獲得のために、会員へ前納をお願

いする。(3)一会員より数十万円の寄付の申し入れがあるが、有効な活用方法を検討してほしい。

など

議題4.組織強化拡大:

若手を対象にした活動(原稿執筆依頼、研究へのアドバイスなど)により会員を増やす、支部

の行事毎に(市民講座も含む)入会受付を設置しては、などの意見が出された。

その他の議題:

2004年度支部大会の日程(5月16日(日))、場所(北大)、議題(例年通り)の提案が

了承された。   (事務局長・江見)

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1回JSA市民講座

「アトピー疾患と低アレルゲン化食品・抗アレルギー食品研究の最前線」

北海道支部では、会員ひとりひとりの研究活動を広く一般市民に紹介することによって科学の

普及に努めるとともに支部活動の活性化をはかることを目標として「JSA市民講座」を開催するこ

とが提案され、第2回支部幹事会(2003年9月21日)において承認されました。第1回は、去る2003

12月27日(土)午後、北海道立道民活動センタービル(かでる2・7:札幌市)において、「アト

ピー疾患と低アレルゲン化食品・抗アレルギー食品研究の最前線」のタイトルで、北海道大学農

学部班の園山が約1時間の講演を行い、その後若干の討論を行いました。

 我が国ではアトピー性皮膚炎、気管支喘息、花粉症などのアトピー疾患が増加してきており、

一方、それを利用して様々な健康食品や保険のきかない薬などを高額で売ろうとする「アトピー

ビジネス」なるものが生まれ、社会問題にまでなっています。このような状況に対して、私たち

はアトピー疾患とその予防・治療に関してできるだけ正確な情報・知識をもって対処する必要が

あります。今回の講演では、アトピー疾患の病因・病態の基礎について解説し、本疾患の予防や

改善に資する目的で探索・創製されてきた食品とそれらの作用機構に関する研究について最新知

見を_ミ介しました。

 今回は新聞紙上や関連団体などを通じて参加者を募りましたが、開催日が年末に設定されてい

たこともあって、12名の参加にとどまりました。しかし、終了後のアンケートでは今後のテーマ

についていくつかの要望が出されるなど、2回目以降の発展が期待されます。

 尚、今後は、「地産地消が豊かで健康的な食生活をつくる」、「市民が支える森林保全」、「危

機に立つロシアの森林」などのテーマで、およそ3ヶ月に1回の頻度で開催していく予定です。

当面は試行期間と位置付けていますが、今後、北海道支部会員で演者として話題提供をしていた

だける方は、支部事務局担当者(園山)までご連絡下さい。

   園山 慶(北大大学院農学研究科)

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1回JSA市民講座参加者のアンケート調査結果

市民講座参加者に行ったアンケート結果です。

1. 「JSA市民講座」をどのようにして知りましたか。

        a. 知人から(5/10)    

        b. 新聞から(2/10)    

        c. かでる2・7の掲示板から(0/10)

        d. 参加団体から(1/10) 

        e. その他 (2/10)

2. テーマはいかがでしたか。

        a. 興味をもっていたテーマだった。(10/10)

        b. 興味をもっていなかった。(0/10)

        c. その他(0/10)

3. 内容はいかがでしたか。

a. やさしく、わかりやすかった。(5/10)

b. むずかしく、わかりにくかった。(3/10)

c. その他(2/10, 専門用語がむずかしかった・具体例があると良かった)

4. 日時の設定はいかがでしたか。

        a. 適当だった。(5/10)

        b. 適当ではなかった。(4/10)(理由:年末だから・土曜の午後だから)

        c. その他(1/10)

5. 場所の設定はいかがでしたか。

        a. 適当だった。(9/10)

        b. 適当ではなかった。(0/10)

        c. その他(1/10, エルプラザなどの地下鉄に近いところが良かった)

6. 資料代の設定はいかがでしたか。

        a. 適当だった。(10/10)

        b. 適当ではなかった。(0/10)

        c. その他(0/10)

7. 今後、「JSA市民講座」で取り上げてほしいテーマをお持ちでしたら、お聞かせ下さい。

 食に関すること・心臓病に関すること・食品の安全性・農薬・動物医薬品

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ミニ講演会

「科学技術政策と法人化」が開催されました。

支部幹事会の前日(2/28)の午後、北大工学部において標記の講演会が行われた。荒磯恒久氏(北

大先端科学共同研究センター)から「我が国の科学技術政策と産学連携について」、伊藤太郎氏

(玉井環境システム(株))から「諸外国の科学技術政策と北海道の中小企業からみた科学技術政

策について」の2題の講演を行っていただき、討論を行った。

 荒磯氏は、北大における産学官連携の中心的役割を担っている立場から、今日進められている

大学改革や産学官連携の問題点と氏が考える連携のあり方についてわかりやすく話された。その

中で、本来大学は次代を担う人材の育成である教育と研究、特に基礎研究を担う機関であること。

しかし、近年、先端科学研究への特化や実用化研究が強調されるあまり、大学本来の使命である

教育や地道な基礎研究が軽視される傾向があり、大学の存在意義そのものの否定につながりかね

ない危険性を指摘した。また、連携のあり方においても、これまでの一企業と一研究者という点

(あるいは線)的連携から複数企業と複数研究者の面的連携への発展の重要性、それを目指すた

めの北海道プラットホーム・エントランス(HoPE)の活動が紹介された。

 伊藤氏は長年パリ大学の客員教授を務め、ヨーロッパ各国の大学を訪れた経験や道内の中小企

業に身を置く立場から、フランスの研究体制の紹介と北海道の中小企業が求める大学への期待に

ついて話された。この中で、道内の企業は小規模なものが多く、各企業単独で開発研究を行うこ

とは難しく、面的連携は重要であること。しかし、大学に求めるのは、即戦力の人材ではなく、

しっかりした基礎知識を持った柔軟な発想のできる人材育成であり、事業化そのものよりその基

盤となる基礎研究の推進とその情報の発信と連携の強化であることが話された。

また、両氏とも、特許申請における我が国の立ち後れ、特に欧米に比較して申請業務を代行す

る弁理士制度の不備が指摘され、科学技術立国を標榜するのであれば有能な弁理士の養成が急務

であることが強調された。

両氏の講演を受けて、参加者の自由討論が行われ、参加者は十数名と少人数であったが、内容

の濃い有用な集会であった。

4月より、国立大学が独立行政法人として発足した。我が国の科学技術政策は、一方で科学技

術立国を標榜している。しかし、大学教員も含めた任期制の導入による研究者の不安定雇用の拡

大。荒磯氏が講演の中で指摘していた、「バイオ」「ナノテク」「IT」など、先端科学技術一辺倒の

「科学研究バブル」の展開。サイエンスとしての基盤的基礎研究の軽視。今後の研究環境は不安

がいっぱいである。

産学官連携の新たな展開に努力されている荒磯氏の殺人的スケジュールの実態を聞き、氏の健

康を気_ュいながら、講演会を終了した。       

(支部常任幹事:沼辺)

 

2月18日の北海道支部常任幹事会で道外PCB廃棄物の室蘭での処理について見解を発表す

ることを決定し、以下の見解を環境省、環境事業団、北海道庁及び室蘭市に送った。また、道庁

記者クラブを通じて報道各社に発表した。

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道外PCB廃棄物の室蘭での処理について

 このほど、室蘭市は、PCB廃棄物処理特別措置法の適用を受けて道内のPCBの処理を行う

施設の受入を決定した。また、その施設を用_「て、道外地域のPCB廃棄物も室蘭市において処

理することが要請されている。この様な事態に際して、日本科学者会議北海道支部常任幹事会と

して現時点におけるPCB廃棄物処理がどうあるべきかについて検討したので見解を述べる。

 第1に、道内のPCB廃棄物処理のための施設建設については、具体的な処理方法が未だに明

確でないこと、地元住民に十分な説明がなされていない点で、環境事業団及び道は住民の理解を

得る必要がある。

 第2にPCBに限らずこうした有害廃棄物の処理に当たってはppp(汚染者負担の原則)の

原則にのっとり、排出者(今回の場合はその保管者)ならびにその保管者の所在する都道府県の

責任で処理すべきである。環境事業団がこの処理を行うとしても、責任の所在は事業団にのみに

負わせるべきでない。今いわれている東北・北陸等の15県の保管するPCB廃棄物の処理を行

うに当たってはこの責任の取り方をどのように考えているのか、この点も住民に明らかにする必

要がある。

 第3に処理方法に関して伝えられるものとして幾つか提案されているが、室蘭で採用される方

式は不明である。いずれにしても実用規模の施設の稼働例はなく、プラントの信頼性や安全性に

関しては何ら保証されていない。新技術であるならば、まず小規模のプラントを稼働させ、その

実績を積み重ねた上で、規模の拡大を行っていくべきである。提案されている処理方式の実験規

模での成果から、一挙に実用規模のプラントを設置することは恐らく初期のトラブルが多発し、

環境への影響が少なくないと思われる。プラント建設に当たってはこうした飛躍は絶対に避ける

べきである。

 以上述べた不確定要因が残っている段階では、一挙に2トン/日の処理施設建設を行うよりも、

当面はより確実な保管方法の確立が必要と思われる。その点で保管の信頼性が低い道内の中小規

模事業者が保管しているPCB廃棄物を道の責任(或いは環境事業団の)で、道内の1カ所に確

実に保管することから開始すべきである。その上で処理方法の確認を行いながら、環境に配慮し

かつ安全な処理へ進むべきである。

2004年2月25日

日本科学者会議北海道支部常任幹事会  

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訃報

お知らせが遅くなりましたが、

元室蘭工業大学教授 山口 格 氏(数学)は2003年10月1日ご逝去されました。66歳でし

た。謹んでお悔やみ申し上げます。

 

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「地域の活性化・地域経済の自立化」(2003北海道科学シンポジウム報告集)

内容 ・北海道経済の再生と地域づくり   (北海学園大学 奥田 仁)

・地域の発展と大学の役割—オホーツク・大学間交流協議会14年の歩み—

(東京農業大学 田中俊次)

・地域自治の活性化と住民の役割—地方制度改革による自治体再編をめぐって—

(北見工業大学 金倉忠之)

A4、31ページで、頒価300円です。 支部財政維持の点からも普及にご協力下さい。

希望の方は支部事務局までご連絡ください。  

 

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科学談話室

水曜日の午後     第3水曜会  前田 満

JSAに再入会

 10年ほど前の退職時にJSAを退会しました。仕事や職場での活動から離れると「日本の科学

者」を読んでもおもしろくなかったからです。しばらくしてから、「第3水曜会」に誘われたの

を機会に再入会しました。

 第3水曜会の集い

 月に1回、第3水曜日の午後に事務所で開かれるこの会の話題はハガキで知らされます。会の

はじめにお互いの情報交換がなされます。この時に署名簿をまわす人もおりますし、絵本コンテ

ストへの応募作品を見せて批評を求める人もいます.これまでの1年、次のような話題で議論を

しました。

(「生活スタイル」「炭鉱労働者の塵肺問題」「イネの遺伝子組み替え」「地球の歴史と環境」

「地球温暖化と生物多様性」「サハリン紀行」「看護学における"環境"の概念」「スウェーデ

ンの山火事後の植生」「屈斜路湖のヒメマス放流」など)

「ニュースレター」122号を発行

 例会の様子や原稿を集め、「ニュースレター」が手作り発行されています。これは4年前に始

め、122号になりました。この1年に20号出しました。次の文章が載りました。

(「園芸療法・音楽療法」「中国の三峡ダム建設」「音楽物語"森の命"」「絵本づくり」「独

立行政法人・森林総合研究所」「国際結婚」「モイワナズナの群生地」「ナキウサギ?アカネズ

ミ?」「違法伐採」「無言館をたずねて」「霞ヶ浦の鯉の病死」「サハリン紀行」など)

 野外へ出よう!

 3年前からモイワナズナ(アブラナ科の可憐な植物)の生育地の探索を続けています。(八木

先生がお住まいの札幌・藻岩山にむかし自生していたモイワナズナが、この地の開発にともない

絶えてしまいました。先生のお父様が60年ほど前に長野県にもモイワナズナが自生していること

をお弟子さんに告げておりました。私たちがこの「モイワナズナ物語」を引き継いだのです。昨

年は藻岩公園の崖っぷちでモイワナズナを見つけました。今年は、80年前のむかし発見、原記載

された定山渓へ探索に行くつもりです。また5月の「道東の自然と農林水産業を探る旅」を企画

しています。

 楽しいJSAの班づくりを!

 支部内の多くの班では、退職にともなう退会や若い人たちの入会がなく近年は減員が続いてい

るということを聞きました。情報機器の発達、大学や研究機関の組織・制度の改変につれて、学

生や若い研究員の意識とライフスタイルに変化が生じてきています。私たちが昔の経験をもとに

結集を呼びかけても、若い人たちはそっぽを向くかもしれません。若い人たちの関心や興味、趣

味や人生・世界観や生活スタイルなど極めて多様です。楽しく好_ォでなければ、また得ることが

なければ、使命感や義務感だけではJSAに参加しないと思います。

 多様なスタイルの活動を企画して、楽しく気分がよくなり、悩みが解消され、励まされるJSA

の班を作りませんか。