支部事務局長会議に出席して

-各支部の活動を交流し、「長期ビジョン委員会答申」等を討議-

 


 去る9月28日東京で支部事務局長会議(東日本、10月4日に西日本)が開催された。これは、毎年1回東日本と西日本に分け事務局長を集めて開催される。主宰は全国の組織部で、北海道地区担当の加藤全国常幹も出席された。私は、昨年、一昨年に続いて3回目の出席である。昨年はブレーンストーミング方式の討論形式を使い新しい試みで行ったが、今年は(1)事務局長講座、(2)基調報告と分散会討論、(3)全体討論という進行で行われた。

 討論の論点提起は、1.長期ビジョン委員会答申(以下「答申」)に基づく支部活動の見直しについて、2.秋の組織化キャンペーンについて、3.「独法化」状況をふまえた当面の大学などでの活動について である。

 分散会は、三つに分かれ、私が出席したグループは、比較的規模が大きい支部の事務局長のグループである。各支部の活動紹介や提起された論点について意見等が出された; 「答申」について全国の“指導強化”は方向としては反対でないか。退職された方が機関誌の勉強会を開いている。院生会員の就職時の対応が問題。JSAが、専門の学会と同列かそれ以上の存在になったら会をやめないのではないか。法人化の取組の中で大学組合に100名入った。など

 全体討論で私は、「答申」のプロジェクト研究推進の為には全国的会員名簿の整備が必要でないかと発言した。全国事務局は、事務的な負担が大きく現状では難しいとの判断であり、当面支部の会員名簿の結合を考えていくとのこと。いくつかの支部に名簿について聞いてみたが、組織担当の人しか見ないなどまだこれから検討していく様な状況である。

 最後に来年秋京都で開催される15総学について意見が出された;ポスターセッションで各支部と各研究委員会は、必ず発表するようにすべき。分科会の持ち方も、総合テーマの一環として位置づけたものとしては。など(事務局長・江見)

 


 

報告:フォーラム「泊原発2号機事故からわかること」

031011日、原発問題全道連絡会と共催で-




 北電の泊原発は1022日現在で12号機とも運転を停止している。2号機は96日から7日にかけて一次冷却水が漏れた配管を交換し原因を調べるためで、1号機は同様の水漏れが生じないか調べるためである。今回の事故は北電が定期検査のたびに「異常なし」と言い続けてきた中で起きており、可能ならば問題提起は早い方がよかろうと、原因の解明を待たずにフォーラムが開催された。会場は札幌市教育文化会館で約40人が参加した。
 最初の報告「異常の発覚から原子炉停止・亀裂の発見まで」では菅野一洋氏(原発問題全道連絡会)が事故の経過をたどり、水漏れの発覚(622時頃)から道と4町村への連絡までに16時間を要し、地元住民が知ったのは8日の朝マスコミによってであること、配管内側の亀裂は非破壊検査では検出できず切断して発見したこと、などを報告。異常事態の公表は迅速性をもっと重視すべきであり、状況については正確であればよく、詳細は判明次第適宜発表していけばよいのではないか、非破壊検査では超音波探傷検査は傷を検出しても精度が悪く今回のように検出できないことも明らかになり、これでは原発の安全は論じられないと述べた。
 二番目の報告「原発の安全はどうなる?」では筆者(石崎健二)が原発の「安全」の考え方として予防保全とLBBLeak Before Break)を取り上げた。予防保全は装置や部品が機能を失う前に、それらを一定の老朽化の段階で交換することで機能を維持するというもので、今回の事故は予防保全に失敗したということである。LBBは予防保全が不可能な場合の対策で、今回の事故のように配管ならば漏れの小さい段階で機能を回復させることであるが、状況の把握に16時間以上も要したのは問題と指摘した。また、今回の事故では明らかにされていないが、被曝を大きくするので本来は採用すべきでないと強調した。
 最後に「現地では」と題して伊藤正明氏(後志住民の会・泊村議)が現地では今回の事故をどのように受け止めているかを紹介した。北電は原発を設置するとき「放射能は絶対に漏らさない」と言ったことを忘れていないこと、異常事態の情報が各戸に防災放送がついているのにマスコミでしか知ることができなかったこと、地域が財政や雇用の面で原発体制に組み込まれている様子などが述べられた。
 参加者からは、当日亀裂の原因が熱疲労と報道されたこともあって、それについての質問、超音波探傷の精度、第三者機関による検査体制の必要性、安全協定の改定などのほか、原発依存からの脱却を求める意見もだされた。    (石崎健二)


 

 

 

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2003北海道科学シンポジウム

「地域の活性化・地域経済の自立化」

 


 「2003北海道科学シンポジウム」は、10月25日(土)、北見市のオホーツク木のプラザを会場として、午後1時半から5時半まで、ほぼ4時間にわたって開かれました。

 シンポジウムのテーマは、「地域の活性化・地域経済の自立化」で、北海学園大学の山田定市先生による司会のもと、以下の3本の報告がなされ、活発な質疑応答が展開されました。

奥田仁先生(北海学園大学)の「北海道経済の再生と地域づくり」では、過疎化が進行する自治体の多い北海道の状況が、北欧との比較において論じられ、人口の減少という深刻な事態のなかで、それを食い止めるための手立てをどのように考えるか、ということが、主要な論点の一つでした。

田中俊次先生(東京農業大学)の「地域の発展と大学の役割――オホーツク大学間交流協議会13年の歩み――」では、それぞれ単科大学としての特質を持つオホーツク地域の諸大学が、とくにシンポジウム等の開催を軸として交流を深めていく歴史が具体的に展開されました。

テキスト ボックス:

金倉忠之先生(北見工業大学)の「地域自治の活性化と住民の役割――オホーツク地域自治研究所の活動を中心に――」では、緊迫の度を強めつつある、「上からの」市町村合併をめぐる動きを含めて、地域の自治をめぐる最近の状況が論じられました。

 参加者は約30名で、報告と報告の間、および、3本の報告のあとに設定された質疑応答・討論の時間には、活発な意見交換がなされました。シンポジウムの形態を取る場合の時間の設定は、非常に難しいのがつねなのですが、今回も全体としてみると、やはり討論の時間がいささか不足気味で、論点を集中させて問題を深く掘り下げるという点では、もう一つの感があったようにも思われます。

 とはいえ、「地域の活性化・地域経済の自立化」という、古くて新しい、かつ、じつに広範囲な論点をはらみ、ある意味ではますます深刻になりつつある問題について、それぞれに刺激的な報告による問題の提起を媒介として、かなりまとまった形で議論ができたということは、きわめて意義のあるものと評価できるでしょう。

      (北見工大班・照井日出喜)


 

 

 

科学談話室

 

 
 


   複雑系の科学
                  北海道大学大学院工学研究科 石田 巌

 現在、米英のイラク侵略や国立大学法人化など、21世紀に対する期待とは裏腹に、一種の閉塞感が漂っているように思える。しかし、このような表層的な現象とは無関係に、学問や社会における深層の流れは、21世紀における学問や社会のありかたに、根底的な変革をせまっているように思える。
 近・現代科学は、神秘性を排し、自然から社会に至るまで、それらの現象を支配する、より根源的な法則を探求(以下、還元主義)してきた。その成果によって、科学技術は飛躍的に発展した。分子生物学の進歩によって、人ゲノムの解読など、生命体周辺の解明は進んだ。しかし、生命の謎は明らかになっていない。一方、経済学や社会科学も確立された状態にはない。生命体、生物、生態系、経済、社会などは複雑系と呼ばれ、共通の性質をもっている。学問諸分野の進展や計算機の発達によって、21世紀の課題として、複雑系の解明が浮上してきた。
 生命体及びその誕生と進化、社会及びその歴史などから、次のような複雑系に共通な特徴や性質を抽出することができる。
  (i) 自己組織化と創発(ボトムアップ)
  (ii) 自律体、代謝、自己増殖
  (iii) 共生・共生進化・共進化
  (iv) 相互作用系
  (v) 学習、適応、進化
  (vi) 情報の授受・処理・とりこみ
  (vii) 安定化要因と不安定化要因
  (viii) 複雑化、多様化、高機能化
  (ix) 非平衡・開放系(代謝)、不可逆過程(進化)、非線形系
  (x) 全体と構成要素が複雑(フラクタル・多重フラクタル)
 複雑化、多様化、高機能化に向かって進化する複雑系は熱力学第二法則"エントロピー増大の原理"に反し、従来の物理学の枠組みを逸脱している。現在のところ複雑系の定義は見当たらない。以上のような特徴と性質をもつ系を複雑系と定義し、複雑系の特徴や性質を解明・研究すること、複雑系の特徴や性質から複雑系の個別分野を研究することを複雑系の科学と定義することができよう。この定義に従えば、気体運動のような単なる複雑な系、あるいは脂質における自己組織化のように部分的に類似した特徴や性質をもつ系から、複雑系を区別することができ、この定義は妥当であろう。固体のような完全な秩序状態は生物の死滅状態に対応し、気体や液体のようなカオス状態では生物のような秩序状態は生じない。生物や社会が環境の変化に適応し、進化できるためには、これらの中間状態になければならない。この状態は"カオスの縁"と呼ばれている。社会においてはカオスの縁は"自由と秩序"と解釈することができよう。
 歴史は、(1)自由と秩序という"カオスの縁"の条件が崩れる、(2)複雑系に共通な特徴や性質が失われる、あるいは(3)不安定要因が増大する、などの条件によって、社会は停滞あ

るいは崩壊することを示している。20世紀においては、ファシズムの崩壊、米軍のベトナム敗退、ソ連邦・東欧社会の崩壊、生産活動による自然環境の破壊など、覇権主義・還元主義的潮流の崩壊が進む一方、奴隷の解放、植民地諸国の独立、議会などボトムアップ体制の普遍化、社会の多様化と高度化など、複雑系としての社会は、その理想的な方向に向かって進化した。しかし、なお、核戦争の危機、環境の破壊、経済のグローバル化による貧富の拡大・投機・通貨危機、米・英によるイラク侵略などの植民地主義など、国際社会における不安定要因が存在する。これらの不安定要因が克服されるならば、21世紀以降において、複雑系に共通な特徴や性質、そして自由と秩序という"カオスの縁"の条件を満たす、より進化した社会が期待されよう。この社会は、日本国憲法、国連憲章やNGOの運動に沿うもので、生態系が考慮され、ゆるやかに進化するであろう。

 

 

 

メーリングリストに登録を!

 

 本年度の支部大会での議論にもとづき,支部事務局では,支部会員への情報伝達の迅速化および効率化に寄与するためにメールリストサービスを開始することにいたしました.
 昨年収集した名簿データをもとに,案内をさしあげ,リストへの参加登録をお願いしておりますが,支部事務局からの迅速な情報伝達手段としての位置づけから,一人でも多くの支部会員の皆様に登録をお願いいたします.
  参加されるメールアドレスから jsa-hokkaido-subscribe@egroups.co.jp にメールを送信して下さい.手続きのメールが返信されます.
    詳細は http://www.egroups.co.jp/group/jsa-hokkaido/ を御覧下さい.
 事務局の財政上の理由から,事務局独自にネットワークプロバイダと契約することが困難なため,当面 Yahoo! eグループを利用いたします.多少の広告が添付されますが,御理解下さい.
 このメールリストは,事務局から会員各位への情報伝達を目的としているため,事務局の担当者のみが投稿可能な設定としてあります.登録していただいた皆様からの直接投稿は出来ません.おそらく,さほど頻繁にメールが発信されることは無いと思います.
    JSA北海道支部 事務局 担当:渡邉信久 hkdjimu@jsa.gr.jp

 

 

 

 

石炭・エネルギーシンポジウム  未来の石炭は釧路から!

       

      釧路で「日本最後」となった炭鉱の存続に、もう待ったなし!

               いまこそ石炭・エネルギーについての対話を!

 

    日時: 2003年11月29日(土)PM1:00〜5:30

    場所: 釧路市生涯学習センター(まなぼっと601号室)

                 (釧路市幣舞町4-28 TEL0154-41-8181

    参加費: 一人300円(資料代を含みます)

 

パネリスト・報告

 

「基調報告-未来の石炭は釧路から」                       

    鈴木史朗(日本最後の炭鉱の長期存続を求める会会長・釧路短期大学教授)

 

  「太平洋炭砿『閉山』後の地域経済・社会」

      中囿桐代(釧路公立大学助教授・経済学部)

 

  「地元石炭の活用を!」

      藤田照明(日本最後の炭鉱の長期存続を求める会幹事・元釧路市議会議員)

 

  「日本の石炭の歴史と現在-技術者の立場から」

      樋口澄志(北海道大学教授・工学系大学院)

 

  「安全・安心なエネルギーの確保と地域経済の発展」

      小田清(北海学園大学教授・経済学部)

 

    主催 日本最後の炭鉱の長期存続を求める会

           (事務局:釧路市松浦町1-3 建交労内 TEL0154-25-5908

    協賛 エネルギー・環境を考える会/日本科学者会議北海道支部/釧路市役所

 

 

 

    さしあげます。

 下記の報告集と不要の座卓が事務所にあり希望の方にさしあげます。支部事務所に連絡してください。なお、原則として、取りに来ていただくか、送料は負担していただきます。

1.北海道科学シンポジウム・北海道農学シンポジウム報告集

  @1970-1973年開催(各4部)    A1975-1979年開催(各4部)

  B1981,19831986年開催の報告集(各2部)

2.座卓  大きさ600×900 mm のもの3卓