第2回支部幹事会報告

 


 9月21日(日)北大農学部で第2回支部幹事会が開かれました。初めに山田定市支部代表幹事から開会の挨拶をしていただいたあと、進行役に沼辺(道研究センター)さんと石崎(個人会員)さんを選び議事に入りました。大会後の支部活動報告後、各班・委員会等から活動報告がされました:

道研究センター:地方独立行政法人化の動きが進んでいる。 西村幹事:産総研では、バイオなどの国の施策の推進、組織の改廃、外部人材の登用などが行われている。 北海学園大:新学科設置で転入会員が増えている。札幌学院大:昼食会を行う中で来てくれた人が会員になった。 北大理:メールで連絡しているが、直に集まれないので良し悪しがある。 北大工:第一木曜日に会員の話を聞く会を持っていて、他学部の人にも話してもらうことを考えている。 稚内北星大:定員割れがあるので募集定員を減らしたり、東京サテライトの開設を準備中。幌延遠足を計画したが班の行事にならなかった。 北見工大:研究会と総会を開いた。就業規則案では、教官の任期制が盛り込まれている。北海道科学シンポジウムの北見開催の準備を行っている。 第三水曜の会(小高):事務所に入りきらない位の例会参加者がいる一方、現職の人が非常に減少している。JSAの研究発表も業績ポイントに入れることなども考えていくべき。 原発委員会(石崎):北電泊原発で先日冷却水漏れの事故が起こった。重大な問題なので、緊急シンポの開催を計画している。

 次いで財政担当の渡邉さんから予算執行状況について報告を受けた。また、科学シンポの開催要領の相談を行い、開会及び閉会挨拶、参加費、予稿集の体裁、懇親会申込み等について決定した。

 その後議題討議に移り、「JSAの今後のあり方についての検討結果(答申)」について、事務局長から要約の紹介があり討議に入った。出された主な意見は、以下のようなものである。全国の組織強化は賛成、ただ全国組織の強化と支部活動の発展は矛盾しない。全国的会員名簿を備えていないで、全国的な活動強化は可能なのか。全国的に会員をつかむことがポイント。支部会員に意見を求めてはどうか。地域の活動をどう発展させるかが大事だ、など。 市民講座については、大学が市民向けに講座を開いているが、JSAらしいものはどういうものか。などの質問が出された。組織強化・拡大については、”入会促進強化期間”などについて提案・議論された。ミニシンポについては、泊原発事故の緊急シンポについての計画が話され、支部と原発問題全道連絡会との共催とする事になった。その他、釧路石炭シンポの後援、北大理班幹事代理などを了承して終了した。

(事務局長・江見)


 

 

支部公害委員会の最近の活動から

 


しばらく活動が休眠していた支部公害委員会が久しぶりに動きを始めました。それは北海道のPCBの処理施設計画についてです。

 マスコミ報道である程度は皆様もご存じのことと思いますが、全国に貯蔵されていたPCB 及びその廃棄物が本格的に、かつ速やかに処理する必要があるにもかかわらず、これまで処理施設がないため、そのまま保管をされており、一部がいつの間にか行方不明になり、環境汚染を引き起こしていることが心配されていました。

 こうしたPCB類を安全かつ効果的に処理しようと「ポリ塩化ビフェニール廃棄物の適正な処理の推進に関する特別処置法」が2001年に制定され、処理施設を全国に5カ所建設する計画が決まりました。その計画にしたがって北海道にも1カ所処理施設が作られることになりましたが、建設地として室蘭が選ばれています。施設を引き受けさせられた室蘭市民は喜んでいるわけではありません。一体どんな施設が出来るのか、何をどのくらい処理するのか、どんな方法で処理するのか、よくわからないまま計画が進んでいるようです。そうした市民の理解を深めるために、昨年夏(7月)に室蘭市民有志の求めに応じ、支部から私(神山)が、北のゴミ総合研究会から三上正樹さんが出席し、PCB処理施設について解説を行ってきました。三上さんは、この計画を北海道として検討するために2002年に作られた「PCB処理事業検討委員会北海道部会」の委員の1人でした。

 その後、今年の5月になって室蘭市の「PCB処理の安全を考える会」から計画の是非について検討の依頼があり、問題の重要性から支部公害委員会で正式に対応することになり、委員会が本格的に動き出しました。

 さて、「考える会」が当面問題にしていたのは、北海道全体のPCB廃棄物処理施設についてではなく、その前に日本製鋼所の構内に貯蔵していた自社のコンデンサー内のPCBを超臨界水酸化法で処理する設備の安全性についてでした。処理能力は6kg/d(250g/hr)で、国が計画している施設ではありませんでした。対応に若干の混乱はありましたが、「考える会」に支部事務所に来てもらい詳しい話を聞いて疑問は解消しましたが、なぜ本格的な処理施設の計画が進められようとしている直前に問題の起こりそうな処理試験を日鋼が行うのかわかりません。試験運転は昨年末に一度行われたようですが、その後、処理状況は聞いていません。「考える会」が問題にしているのは、試験の結果、排出される処理水や排ガスに有害物質が含まれる可能性と、そうした心配な点を考えるに当たり、必要な情報が十分に公開されていない点です。

 一方、我々が問題にしたのは、道内に現存する高圧トランス・コンデンサーに含まれるPCB、その他、PCBを含む油や廃棄物がどれだけあるのか、また、それらを北海道で引き受ける施設でいつまでにどこまで処理するのかという点でした。すなわち、処理施設がいつまで稼働するのかということです。この点について、8月に開かれた環境事業団の「PCB廃棄物処理事業検討委員会北海道部会」で、当面の処理対象は高圧トランス等に含まれる約500tされています。これでは総てのPCB廃棄物は入っていないと思われます。また、処理施設の能力は0.2t/d(PCB量で)とされています。

 「考える会」が心配していましたが、PCBを抜いた後の容器や、こぼれた油を拭き取ったものなどの処理はまだわかりません。それらを産廃処理業者にゆだねる、というのでは困ります。それでは有害物を他に押し付けるだけで、一番処理し難いのがそうした固形廃棄物と思われるからです。

 @早くこのような有害物を片づけてほしいのは山々ですが、何もしないで上手に保管するのと、そこそこに処理して片づけるのと、環境に与えるリスクの程度は違うのか。今までの情報では、こうした点の評価が出来ません。これまでの保管・貯蔵が民間企業にゆだねられ、公的な管理・監視がなおざりにされてきたのを、今後しっかりと管理することは重要です。

A予定されている処理方法はいくつかあげられています。室蘭ではどの方法が採用されるかわかりませんが、どの方法が選ばれるかによって次に問題とする点が出てくると思われます。こうしたいろいろな疑問点を前にして、公害委員会では時々集まって検討会を開いています。支部会員の中でお知恵を貸していただける方がいましたなら、是非支部事務局までご連絡下さい。 (神山 桂一)


 


泊原発2号機で一次冷却水漏れ事故(速報)

 

 北海道電力泊原発2号機で96日から7日にかけて十数時間以上にわたり放射能を含む一次冷却水が格納容器内に漏れ続けるという事故が起きた。事故の経過は次の通りである。

現在、原因調査中であるが問題点をいくつか挙げておいた。原発がおかれている深刻な状況が浮かび上がってこよう。

1)事故の経過(北電発表による)

9622時頃:北海道電力泊原発2号機で格納容器サンプ(水溜め)の水位が上昇傾向にあることに気付く。増水量は4リットル/時。

711時頃:一次冷却水がどこかで漏れていると判断。

     150分:水漏れが格納容器内にある再生熱交換器室で発生していることをつきとめる。増水量は8~9リットル/時で総量は少なくとも140リットル。

     143分:原子炉と蒸気発生器をつなぐ配管から枝分かれして再生熱交換器へ向かう配管の弁を閉じる。再生熱交換器につながる水質浄化装置が使用       不能になる。

     21時頃:再生熱交換器の出口側配管の溶接部から僅かな蒸気が漏れていることを目視で確認。

8850分頃:漏えい部で非破壊検査(液体浸透探傷検査、超音波探傷検査)を開始。

10日:微小な穴を1ヵ所確認したと発表。配管の取り替えのため原子炉運転停止。

13日:配管の切断開始。

14日:切り取った配管の内側に3ヵ所の亀裂が見つかったと発表。

2)問題点

1. 異常個所不明のまま運転を継続。 一次冷却水と判明するまでに異常発覚から13時間、再生熱交換器と特定するのにさらに3時間。

2. 非破壊検査では配管内側の亀裂は検出不可能。

3. 老朽化の進行。

4. 通報遅れ。 道・地元4町村への連絡は異常発覚から16時間30分後、報道機関へはさらに6時間後。 泊村では村議への連絡が異常発覚から21時間後、村民への連絡はなし。                    (原発問題担当:石崎健二)

 

緊急シンポ「フォーラム:泊原発2号機事故から わかること」のお知らせ

 

日 時: 2003年10月11日(土)午後1時から

会 場: 札幌市教育文化会館 3階研修室(305号室)

              札幌市中央区大通西12丁目 電話271-5821

                 地下鉄東西線・西11丁目駅から徒歩5分

参加費: 300円

 

1.異常の発覚から原子炉停止・亀裂の発見まで 菅野 一洋(原発問題全道連絡会)

  2.金属の損傷について          報告者調整中

  3.現地では               報告者調整中

              *プログラムは一部変更するかもしれません。


 

科学談話室

 

 
 


日高山脈の地下深部を覗く

            在田一則(北海道大学 大学院理学研究科 地球惑星科学専攻)

 

 北海道の背骨といわれている日高山脈は,十勝火山群の新しい火山岩類におおわれる佐幌岳の北あたりから襟裳岬まで,延長約150kmの西にゆるく張りだしたアーチをえがく.日高山脈はヒマラヤやアルプスと同じように火山が存在しない衝突型の山脈である.スケールは小さいが,これらの大山脈と同様に地殻深部(20km)の岩石が露出しており,大陸や島弧の深部の岩石や構造,それらの形成過程を研究するのによいフィールドである.

かつて,北大理学部地質学鉱物学教室の舟橋三男・橋本誠二先生たちにより,日高山脈はいわゆる地向斜造山論のスキームで考えられ,日本におけるアルプス造山運動の産物とされた.しかし,最近のプレートテクトニクスの考え方によると,日高山脈を構成する岩石は東側の島弧(弧状列島)と西側の海洋地殻(海底の岩石)の衝突によって,数千万年前にできたとされている.その衝突により島弧の深部(地下約25km)の岩石は断層にそって西側の海洋地殻の岩石にのし上がった(衝上した).それらの岩石はその後の東から西への運動によりさらに隆起し,現在の日高山脈の原形をつくった.

 造山帯では,激しい地殻変動のために,地殻深部で形成された岩石が地表に露出している.我々地質研究者(地質屋)はそれらの地表で観察することのできる地質構造や岩石試料を解析して,岩石の形成過程や構造運動史を解明し,造山運動の歴史を明らかにしてきた.しかし,地表に露出する岩石が地下にどうつながっていくのか,地下構造はどうなっているのか,地表に見られる断層は地下でどのような形態になっているのか,さらにはモホ面の深さはどうなのか,といったことは地表の地質調査ではしることができない.

地下構造を探るもっとも有効な手段は地震探査(弾性波探査)である.とくに直下の構造をしるためには反射法地震探査が適している.これは,測線にそって一定間隔で発震された弾性波が地下の物性境界面(断層面・地層境界面・岩石片理面など)で反射して戻ってくるのを測線に一定間隔で並べた受振器でうけ,地下構造を探る方法である.この方法は石油などの炭化水素資源の探査では常套手段である.米国では1970年代中頃から北米大陸の地殻から上部マントルの深部構造を解明する目的で,学・官・産協同による学術反射法地震探査プロジェクトが始まり,画期的な成果を挙げてきた.我が国では古くから爆破地震動グループを中心に地殻深部構造探査が行われてきたが,ほとんど屈折法に限られていた.日本のように複雑な地質構造をもつ活動的な島弧地域では反射法は不適切と考えられ,石油や天然ガスの探査以外はほとんど行なわれてこなかった.しかし,千葉大学の伊藤谷生さんは四国の中央構造線で反射法探査を行い,中央構造線が地表調査による高角度断層という推定とは異なり,地下浅部で北へゆるく傾斜する衝上断層となっていることを明らかにした.

1994年に文部省科学研究費を得て,北大・千葉大・東大により日高山脈を横断する国道236号線ぞいの約20kmの測線にそって,バイブロサイス反射法地震探査が行われた.その後も,千葉大・北大により2回の探査が行われた.その結果,日高山脈下では,下部地殻が深度約23kmで西に開いた鰐口のように上下に裂けたwedge-delamination(楔-剥離)構造をしていることがわかった.裂けた下部地殻の上半分は断層にそって衝上して日高山脈となっており,下半分は下に沈み込んでいる.その先は,さらに下(北海道の下)を西に沈み込んでいる太平洋プレートの上面にぶつかっているのかもしれない.このような楔-剥離構造はアルプスのような大陸-大陸衝突帯では知られていたが,島弧では初めてである.このように,地殻の深部構造を知るためには地質屋と地球物理屋の共同研究が不可欠である.

 詳しくは北大理学部ホームページのサイエンストピック(http://www.hokudai.ac.jp/science/ science/H12_08/tigaku/arita.htm)をご覧ください.

 

 

 

シンポジウム「未来の石炭は釧路から!」が開催されます

1129日(土)釧路で-

 釧路の太平洋炭砿閉山(2002年)を受けて発足した新会社「釧路コールマイン」による「炭砿技術移転5カ年計画」の終了を間近に控えて、釧路市で活動を続けている「日本最後の炭砿の長期存続を求める会」がシンポジウム「未来の石炭は釧路から!」を企画し、開催にむけて準備を進めています。石炭・炭砿について産業技術・文化遺産・地域経済などの面から、我が国で唯一つの坑内堀炭砿をもつ釧路市で市民的な討論と対話を、と計画されたものです。

 かつてはJSA道支部の少なくない会員が石炭・炭砿関連の研究にかかわってきました。また、年々需要が増加している石炭の国内での確保は、エネルギー問題の長期的展望の観点から考えなければならない重要な課題であり、JSA道支部としても積極的に後援することにしました。プログラムなど詳しい日程が決まり次第お知らせしますので、ご期待ください。

 

 

             以下の報告集の余部と不要の座卓が支部事務所にあり、希望の方におわけいたします

 支部事務所に連絡してください。なお、原則として、取りに来ていただくか、送料は負担していただきます。

1.北海道科学シンポジウム @1970-1973年開催(各4部) A1975-1979年開催(各4部)

 ・北海道農学シンポジウム報告集 1981,19831986年開催の報告集(各2部)

2.座卓

  大きさ600×900 mm のもの3卓

    不要の本棚をご寄付下さい。

事務所の物置用に本棚を探しています。廃棄処分を考えているもの等がありましたら事務所まで連絡ください。